奇跡の⼟壌菌群

地球を創ったのは細菌だった

46億年前、地球が誕⽣したと⾔われています。その当時の地球は、どのような星だったでしょうか?まだ⼤地は煮えたぎり、⽣物はおろか、⽔も緑の⼤地も、何もなかった星でした。
⻑い時間の経過とともに少しずつ地球は冷えてゆき、やがて岩⽯と⼤量の⽔蒸気に覆われた星となりました。
さらに地球が冷えてくると、⼤量の⽔蒸気が⾬となり、やがて、海となったわけですが、この頃の海も⼤気も、現在のものとは全く構成成分の違う“別物”でした。現在の⽣物には悪魔のような環境の海の奥底、海底⽕⼭の⽕⼝付近で細菌が⽣まれたと⾔われています。
この細菌たちが⻑い⻑い時間を掛け、進化し多種多様な個体を⽣み出し、酸素を作りだし、陸地に上がり緑を作り出し、そして、海や陸地に⽣息する動植物へと進化してゆき、地球が創造されてきたのです。

現在の環境は細菌たちによって創られた

細菌が誕⽣したのは、38億年前と⾔われています。
その後、30億年前になると、地球に⼤きな変化が訪れます。バンアレン帯の⽣成です。
地球の核の動きが⼀定となり地球全体が磁場をもつことで、太陽⾵を防ぐ盾ができ、放射能が降り注がなくなりました。
これにより、細菌たちは海の奥底から海表⾯近くまで⾏けるようになりました。
この環境変化の中で進化と淘汰が繰り返され、シアノバクテリアが登場します。
シアノバクテリアは、光をエネルギーに⼤量の酸素を⽣成してゆきます。
約6億年前、カンブリア⼤爆発という、海の浅瀬で動植物が急激に繁殖してきました。
しかしながら、まだこの頃は、オゾン層は形成されていないため、有害な紫外線にさらされ地上に進み出た⽣物たちは、⽣きることができず、そして、亡骸を分解できる細菌たちもいないため、乾燥し⾵化するだけでした。
やがて、この⽣成された酸素はオゾン層を形成します。約4億6千万年前のことです。
これにより危険な紫外線が遮断され、細菌たちも陸地へ這い上がることができるようになり、波打ち際に上がった動植物の亡骸を分解し、植物の栄養を作り出すことができるようになりました。
約4億年前、植物が上陸し、そして陸地の奥地へと広がってゆき、約3億6千年前、動物が陸地へと上がってきました。

細菌たちが始めた動植物の分解

オゾン層の形成により、多くの動植物が陸上を⽬指しました。
そこにもやはり⻑い年⽉がかかり、波打ち際から、陸地へと、その動植物たちが死骸となったあとは、細菌たちがその亡骸を分解してきたわけですが、動植物たちの分解は単⼀の細菌ができるのでしょうか?
答えは否。さまざまな細菌たちが、動植物を構成しているさまざまな成分を分解してゆきます。
海から陸地、つまり⼟壌に這い上がってきた細菌たち“⼟壌細菌”は、それぞれの得意分野の分解をしてゆきます。
動物の⾁や油、植物のデンプンや繊維質など。そして単⼀ではない様々な種類の細菌たちが⾃分達の得意とする分解を担当するコロニーを形成し、動植物の亡骸を分解し、植物の栄養を⼟壌に作り出してきました。
つまり、”⼟壌菌“と呼ばれる細菌たちが、動植物の分解をすることで、植物が必要とするたくさんの栄養を作り出すことができたのです。

細菌たちが始めた動植物の分解

動植物を分解し、栄養に変えてゆく“⼟壌菌”を調べたところ、4つの細菌群“コロニー”があり、それは、「タンパク質分解菌群」「デンプン分解菌群」「油脂分解菌群」「セルロース分解菌群」だという調査結果となりました。
多くの⼈が、ここであることに気づかれるのではないでしょうか?
⼈間は、⽣命を維持するために⾷事をします。何を⾷べて栄養に変えていますか?
それは、「動物と植物」です。「動物と植物」を⾷べ、体の中で分解し、栄養として体の維持のために取り込むわけですが、どのように分解されているのでしょうか?
そう、腸内には沢⼭の種類の細菌が住み、⾷物の分解をしているということは多くの⽅々が認識している点であると思います。
動植物の亡骸を分解する“⼟壌菌”と動植物を腸内で分解する“腸内細菌”同じ働きをしているということに気が付かれると思います。
⼈が健康であるための腸内の環境も、地球全体の環境も、実はこの4つの「分解菌群」細菌たちに司られているのではないでしょうか。

参考⽂献
佐々⽊淳(2020).『腸内細菌はすごい!』.KKロングセラーズ